東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1079号 決定
〔主文〕別紙目録(二)の記載の増改築を許可する。
〔理由〕一、本件申立の要旨
(一) 申立人は、昭和三九年五月一〇日、相手方から、別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を普通建物所有の目的、期間昭和五九年五月四日までの約で賃借した。
(二) 申立人は、本件土地のうえに同目録(二)の1記載の各建物を所有しているが、このうちの一棟を同目録(二)の2記載のとおり増改築する計画であるが、本件賃貸借には、増改築制限の特約が存し、相手方の承諾がえられないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。
二 当裁判所の判断
(一) 本件で取調べた資料によれば、申立人は、昭和三一年ごろ、前賃借人からその地上建物を買受けるとともにその借地権を譲受けたが、右期間満了の際、相手方との間に更新契約を結び、期間を昭和三九年五月五日から二〇か年とし、更新料として金二〇万円を支払つたこと、右更新契約の際申立人、相手方間において、「所有建物の改築または増築するときは相手方の承諾をうること。ただし、契約期間中には承諾されたものとする。」旨の特約が結ばれたこと、その後土地賃貸借の存否につき、争いが存したが、昭和四五年一月二六日東京地方裁判所において調停が成立し、賃料等は改訂されたが、右賃借権の存在が認められたことが認められる。
右事実によれば、本件賃貸借には、増改築制限の特約が存し、そのため本件増改築につき紛争が存するので、本件申立てはその利益があり、また本件改築計画は土地の利用上相当であり、他にこれを不当とする事由はない。そこで本件増改築計画は、認容すべきであり、かつ、右更新契約の趣旨によれば、契約期間中においては、無償で承諾する趣旨であることが明らかであり、前記調停においても、右条件に変更があつたとはみられないので、本件増改築計画は、給付金の支払を命じることなく許可するのが相当である。また、賃料、期間等その余の附随処分の必要はない。 (筧康生)
目録 (一)
(土地)
東京都杉並区上井草三丁目三〇一番一
宅地346.11平方米(104.7坪)
実測350.41平方米(一〇六坪)
目録 (二)
1 (現存建物)
東京都杉並区上井草三丁目三〇一番地一所在
(一) 家屋番号三〇一番一の二
木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建工場兼居宅
一階62.80平方米
二階65.28平方米
(二) 家屋番号三〇一番一の一
木造瓦葺平家建居宅
60.33平方米(18.25坪)
2 (増改築計画)
現存建物中(二)の建物を取りこわし、
木造モルタル塗り瓦葺二階建
一階115.70平方米(三五坪)
二階115.70平方米(三五坪)
を建築する。